Control (支配)

『Control』はFFXVIに登場する、ガルーダのテーマ曲であり、STORY II-8の「対ガルーダ戦」のボステーマでもあります。この曲のアレンジに植松伸夫氏の『Prelude』 が含まれていて、FFXIVのガルーダテーマ曲 『Fallen Angel’ (堕天せし者)』の一楽句も使われています。

今度も、『My Star』と『Find the Flame』と同じように、詩的訳をつくるために日本語が母国語である友達にネイティブ感を貸していただいています。彼女も翻訳者で、語彙力もセンスも優れている上に、説明が丁寧で思慮深いからいつも勉強になります。

あと、ちょっとした※放棄声明※がありまして...古語は一学期しか学んでなくて、それがもうけっこう前のことだから久しぶりに触れようとしたんですが、ミスはあるかもしれません。(あるとしたらごめんなさい!教えてくださると嬉しいですし^^)

一応翻訳に関するサイトなので、参考のために詩的訳の下に直訳というか、言葉だけの意味も書いておきました。興味のある方には和訳について一番下のところにメモも書きました。

作曲: 祖堅正慶 & 植松伸夫 | 編曲: 今村貴文 & 石川大樹 | 歌詞: Michael-Christopher Koji Fox


Garuda (x8)
ガルーダ (x8)
ガルーダ (x8)

On lightning dark Did ride betrayal
暗き稲妻に 裏切り乘りけり
暗き雷に 裏切りが乗った・乗っていた

Away her heart She swathed in gale
疾風に包み 仕舞いけり心
彼女が心を疾風に包んで 仕舞い込んだ

Silently Falling, falling
音もなく 落ちて落ちり
黙々と 落ちていく、落ちていく

Finding fury, fury Fire and fury
激怒を見つけ 焔と激怒を
激怒、激怒を見つけ 火と激怒を

Her breath a storm To stir the heavens
天をも乱りうる 息吹嵐の如し
彼女の息は [まるで]天界を乱し得る嵐[のようだ]

A wretch forlorn She turns to daemons
寄る辺無き哀れなる者 鬼神(ダイモン)に変ずる彼女
寄る辺のない哀れな人[である] 彼女がダイモンに成り変わる・すがる

Far, ever Falling, falling
遠く、果てしなく 落ちて落ちり
遠く、永久に 落ちていく、落ちていく

From redemption To the end of...
贖いから ...の果てまでも
贖いから ..の果てまで


和訳について:

説明が不器用で申し訳ありません。それでも少しは参考になるんじゃないかって、一応書いておきます

  • 他のFFXVI曲と同じく、この歌詞にも中世英語らしきフレーズがいくつかありますから、そういうところに古語の表現を使おうと思ったんです。語順が現代英語と異なっているところ(おそらくは韻を踏むための‘inverted syntax’)は以下の四つです:
    • 2行目の「lightning dark」 (暗き雷・稲妻) = 「dark lightning」 (暗い雷)
    • 2行目の「did ride」 (乗りけり・乗つたりけり) = 「rode」 (乗った・乗っていた)
    • 3行目の「away her heart she swathed」 (離れたところに心を包みて[仕舞い込んだ]) = 「she swathed and [tucked/hid/shut] her heart away」 (包んで、[仕舞い込んだ]心、離れたところに)
      • ここの「away」は「tuck away」「hide away」「shut away」などの意味が全部あり得るけれど、動詞が書かれていないため、文脈で読み取るしかありません。それで「仕舞い込んだ」にしようと思ったんですが、リズム的に「仕舞い込みけり」が回りくどい感じがしたので「込み」を省き「仕舞いけり」にしました。
    • 7行目の「wretch forlorn」 (寄る辺なき哀れなる者) = 「forlorn wretch」 (寄る辺のない哀れな人)
      • wretch = 哀れな人・惨めな人・卑劣な人・恥知らず・嫌われ者・人でなし・不届者
      • forlorn = 寄る辺のない、見放された、惨めな、侘しい
    • 2行目の「lightning dark」 (暗き雷・稲妻) = 「dark lightning」 (暗い雷)
    • 2行目の「did ride」 (乗りけり・乗つたりけり) = 「rode」 (乗った・乗っていた)
    • 3行目の「away her heart she swathed」 (離れたところに心を包みて[仕舞い込んだ]) = 「she swathed and [tucked/hid/shut] her heart away」 (包んで、[仕舞い込んだ]心、離れたところに)
      • ここの「away」は「tuck away」「hide away」「shut away」などの意味が全部あり得るけれど、動詞が書かれていないため、文脈で読み取るしかありません。それで「仕舞い込んだ」にしようと思ったんですが、リズム的に「仕舞い込みけり」が回りくどい感じがしたので「込み」を省き「仕舞いけり」にしました。
    • 7行目の「wretch forlorn」 (寄る辺なき哀れなる者) = 「forlorn wretch」 (寄る辺のない哀れな人)
      • wretch = 哀れな人・惨めな人・卑劣な人・恥知らず・嫌われ者・人でなし・不届者
      • forlorn = 寄る辺のない、見放された、惨めな、侘しい
    • 2行目の「lightning dark」 (暗き雷・稲妻) = 「dark lightning」 (暗い雷)
    • 2行目の「did ride」 (乗りけり・乗つたりけり) = 「rode」 (乗った・乗っていた)
    • 3行目の「away her heart she swathed」 (離れたところに心を包みて[仕舞い込んだ]) = 「she swathed and [tucked/hid/shut] her heart away」 (包んで、[仕舞い込んだ]心、離れたところに)
      • ここの「away」は「tuck away」「hide away」「shut away」などの意味が全部あり得るけれど、動詞が書かれていないため、文脈で読み取るしかありません。それで「仕舞い込んだ」にしようと思ったんですが、リズム的に「仕舞い込みけり」が回りくどい感じがしたので「込み」を省き「仕舞いけり」にしました。
    • 7行目の「wretch forlorn」 (寄る辺なき哀れなる者) = 「forlorn wretch」 (寄る辺のない哀れな人)
      • wretch = 哀れな人・惨めな人・卑劣な人・恥知らず・嫌われ者・人でなし・不届者
      • forlorn = 寄る辺のない、見放された、惨めな、侘しい
  • 偶然だけなのかもしれませんけど、この曲にはFFXIVのガルーダテーマ曲『Fallen Angel (堕天せし者)』の一楽句が使われているから、4と8行目に「falling, falling」という歌詞があってなんかいいなって思いました^^。
  • 5行目の「fire」にはあり得る和訳がいくつかあります: 「 火」「炎」「焔」「火炎」、など。そのなかで「焔」にした理由は以下の四つです:
    • ほむら=①ほのお。火炎。②怒り・恨み・嫉妬などで心中に燃えたつ劇場をたとえていう語。(広辞苑より)
    • 「陥る」と同じつくり +「火」へん
    • ほむら:火 (ほ) + 群 (むら)vs ほのお:火 (ほ) の 穂 (お)
    • 「ほむらは葬る」
  • 6行目の 「to stir the heavens」 = 「is capable of stirring ~」・「 with the power to stir ~」、つまり、するかしないかはともかく、それほどまでに力強い =「乱し得る」という意味です。この「to」の使い方は比喩や仮説に使われるケースが多いけれど、ここは風の召喚獣の話をしているのでそのままの意味かもしれません。
  • あと、同じ6行目の「天をも乱りうる」というフレーズに「も」を入れるべきか、省くべきかって友達に相談したら、彼女がとても良い答えをくれたのでここにも載せたかったんです。このフレーズは意味的に「も」があってもなくてもオッケーなので、気になったのが律動の方でした:「も」を省くとちょっとスッキリするんじゃないかなって。それで彼女が『この一文だけみると、なくても良いと思ったけど、詩の全体が、前半はとてもリズミカルだから、「天を」のところで「も」が入ると少し読み手の想定を崩して、逆にお洒落というかインパクトが出る感じ』という思慮深い答えをくれました。『「も」がないと、軽やかに過ぎていってしまう印象』を与えますと。もちろん、彼女個人のセンスではあるけれど、説得力のある説明でしたし、彼女のセンスを100%信頼している私ですから、「も」を入れることにしました。
  • 7行目の「turns to」の可能な解説はふたつあります: 「turns into (に成り変わる・化ける)」 OR 「depends on (にすがる・頼る)」。それに...
  • 同じ7行目の「daemon/daimon (δαίμων)」の由来は古代ギリシア語で、文字通りの意味に拘泥すると和訳が「神、神の如き、力、運命」になりますが、実用的にこれは 『人間と神々の中間に位置する、あるいは善性あるいは悪性の超自然的存在で、下位の神格や死んだ英雄の霊など』(Wikipediaより)を指します。となると、可能な和訳は「鬼神、神霊、精霊、背後霊、氏神、守護神、亡霊、自然力、大自然の精霊」などです。あと、現代英語では「daemon」が「demon」のもう一つのスペルとして使われるケースもあります(この2語は同起源の言葉 = cognates)から、ここは「悪魔」という和訳だってあり得ます。
  • ...したがって、7行目の可能な訳し方は以下の四つです:
    • 彼女[自身]が鬼神・精霊に変ずる
    • 彼女[自身]が悪魔に変ずる
    • 彼女が[他者である]鬼神・精霊にすがる
    • 彼女が[他者である]悪魔にすがる
  • 『嵐の兆し』(II-7)に、クライヴとシドがドラゴニエール平原で風のエレメントに遭遇するとき、こういうやりとりがありました(英語版のみ):
    • Clive: There are so many...! 
    • Cid: Aye. One for every fragment of her mind... 
  • この解説だと、「風のエレメント(こと大自然の精霊)= ベネディクタのメンタルが壊れてつくり出された存在、もしくは彼女の精神の破片」。それで、和訳を「ダイモン変ずる彼女」にしたんですが、日本語版にはない解説なので「他に寄る辺がなく、彼女が悪魔(バルナバス?アルテマ?)にすがってしまった」という解釈でもあり得ると思います。
  • 9行目の「redemption」とはクリスト教などの「贖い」のみならず、「罪・悪事を償うことによって救われる」と言うもっと一般的な意味がありますから、ここは「償い」でも「救い」でもよかったんです。

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